怒り、読みました。吉田修一の作品。うまいなぁ、作りが。
映画も完成したところで、どっちを先に?と思いましたが、まず文庫の上を一気に読み終わり、ワナワナしつつ、下を読み終わりました。
いや、面白かった。いい意味で、いつもの通りの吉田修一ストーリー、吉田修一エンディング。
人と話をしてて、
(「悪人」+「パレード」)÷日本社会
*人口密度の計算のような
という感じかな、なんて思いました。
悪人は、この辺が舞台になっているせいもあって、なぜ?と言うのがよく分かるような気がする一方、パレードは、頭では分かっても、実感しにくい。でも、どちらも、孤独とかさみしさとか、ですよね、モチーフ。
映画もこのストーリー(テーマ)に沿って作られてると信じますが、予告編、映画館や本屋さんで流れてますね。
チラ見するだけでも、渡辺謙の役(原作でも、かなりの中心人物)が、素晴らしいように思えます。
ネタバレ…途中で犯人分かっちゃいますが、犯人捜しが重要でもないので…
東京、千葉、そして沖縄で(なんとなく、悪人とパレード、分かるでしょ?)殺人犯かもしれない青年と出会う三組の家族。その家族が…あるいはその周囲も含めて、人と人との関係が…父娘だったり、その日その日の同性愛のカップルだったり、母娘とその友達だったりするわけですが、信じてるつもりで信じていなかったり、信じる必要が無かったり、信じて、と言い続けないといけなかったり…うう、悲しいです。
最後までこのテーマだと、もうどん底エンディングになるところですが、吉田修一エンディング、一筋、二筋の光明を残します。それがまた泣ける。悪人の(映画の)エンディングを思い出させますね、これは。
それにしても、ある意味最大の謎が読者に残されたまま終わっちゃうのですが、あれは…
ちょっと、津山での大量殺人事件を思い出したのですが、そういうことなのかなぁ。
受け入れてもらえない、と言うか信じてもらえないというか…
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