明日公開ですね。一足先に飛行機の中で見てきました。
いい作品でした。拍手喝采、と言うタイプの映画ではもちろん無くて、見ると、どんより重くなるのですが、自分だったら、と考えさせられたり、あるいは一筋の光が見えたり…
物語は、ジュリアン・ムーア演じる言語学者の50歳の誕生パーティに家族が集まるところから始まります。
その後、いつも使い慣れている言葉が出てこないこと、ジョギング中に場所が分からなくなったことなどから異常に気づいた彼女は、若年性アルツハイマー病の診断を受けます。遺伝性の…
そんなことが有るはずが無い、と受け入れられない夫。遺伝性であり、病気を(変異遺伝子を)受け継いだかもしれないと告げられる三人の子供達。
そう、これは、徐々に病気が進行していくことが分かる本人の物語であると同時に、突然不幸に巻き込まれる家族を描いた物語でもありました。
本人の…自分が分からなくなっていく恐怖感。病気が進行しているであろう未来の自分に送るメッセージの作成…まだ大丈夫、と確認したり(iPhoneで、自分に対する質問に答えられるかを確認する)、あるいは自分の好みが分からなくなって夫と同じものをオドオドと注文したり…その心の動きには、締め付けられるようなものがありました。
一方…家族だって、それぞれの生活があって、介護だけしているわけにはいかないというか、すべてを抛って介護するというわけにもいかないというのは、きれい事ではなくて現実でしょう。愛する妻、愛する母親と言っても。
夫(アレック・ボールドウィン)にしても、ずっと一緒にいてあげる、と思いはするものの、自身の栄転の話が決まったら、すぐにでも引っ越していきたいと考える(連れて行く=アリスはまったく見知らぬ環境に置かれることになる)わけで、だからといって新任地でいきなりサバティカル(休暇)をとれるわけもないし、なにより、稼がないと生活そのものが成り立たない、という…人それぞれとしか言い様がないけれども、いざ自分が、となったら、こう考えても不思議はないですよね。きれい事ばかり言ってもいられない現実がある。
そして、子供の方も、検査結果を知って…あるいは、症状が進む母親を見て…
そんな中で、今まで(学問の世界にいる者として)その生き方を否定してきた娘の一人とは、逆に打ち解けるようになって…
あらすじが、と言うわけではないのですが、リア王をちょっと思い出しながら見ていました。
お涙ちょうだいでもなく、どうしようもなく打ちのめされるでもなく、本当に、自分だったら、、自分の周りの人ただったら、と、考えさせられる映画でした。
これでも軽すぎる、と言う評もあるようですが、映画で悲惨な面ばかりことさらに描くわけにもいかないでしょうしね。
こちらのサイト…
「もし自分だったら…」と考えずにはいられない! ジュリアン・ムーアが若年性アルツハイマー病を演じる、アカデミー賞主演女優賞作品『アリスのままで』 | Pouch[ポーチ]
こちらの解説が、すばらしく、かつ非常に共感できました。(明日公開ですので、一般の人の評はまだほとんどありませんね。)
ここにも書かれていますが、ジュリアン・ムーアはこれでアカデミー賞を受賞しますが、受賞直後に監督(の一人)は…難病(ALS)の悪化でなくなってしまったとのこと。
まさに、アリスに自分を映しつつ、命をかけての作品だったと思えます。
アカデミー受賞からわずか3週間──「アリスのままで」の監督がALSで死去|エンターテイメント(セレブ・映画・海外ドラマ)|GQ JAPAN
アリスのままで。原題は、Still Alice。どんなに自分が変わってしまっても、あるいは家族が変わっていってしまっても、それでも、まだアリス…
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