と言うわけで、もう一度見直してみました。眺めのいい部屋
オリジナルは1986年の作ですから、かなり古いと言えば古いですね。
映画 眺めのいい部屋 – allcinema
僕がフィレンツェに(前回)行ったのは2011年の秋。映画が作られたときから四半世紀経ってる・・・のですが、ご存じのように、フィレンツェは建物を作り替えたりしないでずっといにしえのままの姿をとどめている街なので、その町並みも、25年経とうが、何百年経とうが、変わりません。
しかし、この映画(と言うか、原作)が描こうとしたのは、変わらないフィレンツェとともに、変わっていくヨーロッパ、だったのでしょう。
イギリスの良家の令嬢ルーシー・ハニーチャーチは、年上の従姉シャーロットに付き添われ、初めてイタリアのフィレンツェを訪れる。二人は、部屋の窓を開けてがっかりする。美しいドゥオモをのぞむアルノ川に面した部屋ではなかったからだ。
アルノ川・・・有名なベッキオ橋が架かっている川ですが、フィレンツェと言えばこのアルノ川。朝も昼も夕方も、そして夜もきれいなんですよね・・・そりゃ、僕だって、川沿いのホテルだったら川が見られる部屋じゃないと、って思いますよ(高いから無理だけど)。
泊まっていたホテルもそれなりに眺めのいい部屋ですが、ドゥオーモは見えません・・・
さて、そこでルーシー達に眺めのいい部屋との交換を申し出たエマソン氏とその息子ジョージ——この二人は、ルーシー達とは“階級”が違うわけですね。従って、ルーシーはもちろん、シャペロン役のシャーロットにとってはつきあってはならない人々だったりするわけですが・・・
いつしかジョージの中の何か(新しい何か、自分たちには無い何か)に惹かれるようになったルーシーですが、それを恐れたシャーロットはルーシーをイングランドに連れて帰ります。そこでルーシーは、ジョージとは全く違うタイプ(つまり、(これまでの)ルーシー側の人)のセシルと婚約します。
しかし、しかし、そう、《美しく誘惑的なフィレンツェと、優雅なイギリスの田園を舞台に繰り広げられる運命的なロマンス》と評される作品ですから、これで終わるはずがない。本当の自分の気持ちに気づいたルーシーは・・・
美しいフィレンツェとイングランドの風景の中に描かれる、新しい時代というか世代というか、あるいは感覚というかが生まれてくる様子を、これまた美しい音楽に包んで、見事に描いてくれています。
歴史の難しい話は置いておいて、—良家の令嬢が、旅行でフィレンツェを訪れ、真実の愛と自己に目覚め、大人の女性へと成長していく様子を、“イギリス中産階級の因襲と偽善”と”自由で開かれた思想の人々”との対比を通して描いた傑作である—「どんな堅物をも情熱的にさせる」と言わしめるイタリアの魅力を描いた映画—という評価を見ると、ルネサンスを生み出したイタリア(フィレンツェ)が舞台になったというのも頷けるところです。
86年の作・・・古いと言えば古いのですが、
『眺めのいい部屋』は、1986年3月にニューヨーク、4月にロンドンで公開されるや大ヒットを記録、その年の米アカデミー賞、ゴルデングロープ賞、英国 アカデミー賞をはじめ数々の映画賞を受賞。日本でも1987年7月に初公開され、ロングランヒットとなり、「眺めのいい」という言葉が流行語になるほどの ブームを巻き起こした。
と言うくらいで、世界的にも高い評価、と言うか、流行ったわけですね。
1996年(10年後だ!)、トロントにいた僕は、仕事の仲間とバスで泊まりがけの遠足のような発表会のようなものに移動中に、イラストでやるジェスチャーゲームのような、つまり最小限のヒントで言いたいものを当てるクイズをしていたのですが、その途中で(かなり興が乗ったとき)、誰かが四角を書いて、多分感動したようなマークか何かを書いたら、一人が「View! …A Room with a View!」と答えたのを覚えています。答えは・・・なんだか忘れたんだけど、全然違ってたんだけど、みんなで大笑い。・・・その位、”眺めのいい○○“ってのは流行った言葉なんですね。あ、言葉って言うか、映画がですけど。
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