いや、これは初めての、と言うか、衝撃的な作品でした。
健常者に対して、見常者ー普通目で見ることでメインに情報を得ている者ーと言う言い方をすることがありますが、その見常者に対して目からの者以外の情報がメインだったり、それに対する感覚が鋭いという人がいますよね。あるいは、最相葉月の絶対音感 に描かれているように、音(等)の情報に対する絶対的な記憶を持っている人もいます・・・
香りはどうだろう?神の雫じゃないけど、ワインのソムリエは、そんな感じなんだろうか?開高健には、耳の物語と言うのがあって、これは「音」で記憶を紡ごうとした作品だと思いますが、そう言えば、ボードレールには・・・
エキゾチックな香り
秋の暮れ方 まぶたを閉じて
あたたかいお前の胸の匂いをかげば
わたしはそこに幸福な渚の広がるのを見る
物憂げな太陽のきらめく渚を自然はこの怠惰な島に
奇妙な木と香ばしい果実を与えた
しなやかで力強い男たち
率直な目をした女たちをもお前の匂いが誘い出したこの島には
帆船であふれる港がある
波にたゆたうけだるき船たちタマリンドのようなお前の匂いが
大気を満たし 鼻をつき
水夫たちの歌声と溶け合うのだ
なんてのがあって・・・香りで、女性のすべて(今だけじゃなくて過去も歴史も)描こうとしていたのでしょうか・・・
そう、この、「香水」ーある人殺しの物語 は香りに惹かれ、香りを作り、香りを操った男の話です。
香りっていっても、そう、たとえば植物が昆虫や動物を引き寄せるのも香り、食べられないように身を守るためにも香りを使っていて、その違った香りは、ほとんど同じような成分の微妙な違いによって作り出されたりするわけで、それが人間にだって当てはまるはず。
考えれば、香水だって、その微妙な調合加減で、女性が男性を引き寄せる香りになったり、“うっ、キツっ!“ってな香りになったり(これは、好みの問題か?)、古典的に使われている成分が催淫性が有ったり、眠りを誘ったり・・・人にもいろいろな作用を及ぼしているわけですから・・・
主人公のグルヌイユは、並外れた嗅覚を持つ(しかし、自分は匂いを発しない)男。匂いを発しないが故に他人に嫌悪感を抱かせると言うことに気づいたグルヌイユは、それっぽい香りを身にまとうことを覚え、さらに香水の調合師として働き始め、彼の調合した香水はパリ中の、いやフランス中の人気を博するようになる。
彼の目的は、”究極”の香水を作ること。
その頃、パリで処女が次々に殺される事件が起こり・・・
原作の最後は、かなりドキドキさせられます。そして、最後の(読み終えれば、こうなるしかないって思いはするものの)大どんでん返し・・・もちろん、“香り”を使った・・・には、あ!と、息を呑むばかりでした。
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p style=”font-size: 13px;”>香り、恐るべし!
これ、映画化もされていまして、先ほど見たところでした。原作に忠実と言えば忠実、そもそも原作を、マーチン・スコセッシやスピルバーグが映画にしたがったって言うくらいだから、忠実に作る以外になかったでしょうね。(それくらい、原作がすごいというか、怖いというか)
原作でも、グルヌイユが産み落とされたときの市場に漂う汚臭、そして、(当時の)パリの街に漂う異臭などなどが事細かに描かれているのですが、映画の方もそれを忠実に(?)映像化しているので、うぅ・・・見るのは、結構つらいです(笑)
が、映画そのものは、すごくいい作品です。いい、って言うのは、原作を読んだ上で、それを踏まえて、と言う意味です。
えっと、ハリウッドとか、韓流スターとか、そんなイメージで見ないでくださいね。
そして、もちろん、主題歌は・・・
そして、もちろん、主題歌は・・・
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p style=”text-align: center; font-size: 14px;”>パフュームが歌っている!
と言うこともありませんので、ご注意ください。(誰も間違えないって!)
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